注目すべきはルーマニア語です。現代ルーマニア語では奴隷はsclavですが、古ルーマニア語でruman(ルマン、「ローマ人」)と言っていました。 これを知ったときは、え?と思いました。ルーマニアという国名は「ローマ」に由来しています。ルーマニア語もラテン…
これらの奴隷に相当する単語はGoogle翻訳で調べたものですが、やや信憑性に欠ける訳もあります。たとえばGoogle翻訳では、ロシア語では奴隷はведомаяと出てきますが、ведомаяはあえて日本語に訳すれば「従属した」です(”従える”を示すвестиの被動形動詞現在…
他の欧州言語では次のとおりです。 - エストニア語:ori- ギリシャ語:δούλος(ドゥロス)- ハンガリー語:rabszolga- フィンランド語:orja- ラトビア語:vergs- リトアニア語:vergas
一方、スラブ諸語では、次のとおりです。 - ロシア語:раба、ведомая(※)- ウクライナ語:ведена(ヴェデナ)- チェコ語:otrok- スロバキア語:otorok- クロアチア語:rob- セルビア語:роб(ロプ)- ブルガリア語:роб(ロプ)- ベラルーシ語:ведзеная(…
ちなみにヨーロッパの他言語では奴隷を表す単語は次のとおりです(※ Google翻訳)。 まず西欧諸語ですが、ぜんぶsclavus,slave系の単語ですね。 - フランス語:esclave- スペイン語:esclavo- ドイツ語:Sklave- イタリア語:schiavo- ポルトガル語:escravo- オ…
ところでスラブ(slav, キリル文字ではСЛАВ)とはどういう意味かというと、現地語で「栄光」を意味します。「神よ栄光あれ、Thank God」は、СЛАВА богу(スラヴァ・ボグー)」といいます。プーチン大統領の就任式では、「栄光あれ -СЛАВЬСЯ(スラーヴィシャ…
ロシア、ポーランド、チェコスロヴァキア、クロアチアなどの人々を総称してスラブ人(slav)といいますが、これを最初知ったとき、何だか英語の奴隷(スレイブ、slave)と似た言葉だなと一瞬、思いました。いやいやいや、偶然の一致だから、スラブのみなさま…
はじめてのウズベキスタン語という本を本当にパラパラーと3分ぐらい見てみました(めくりました)。直感的にトルコ語とウズベキスタン語は、英語とフランス語ぐらいには似ていると思いました。
日本語で「さあ、行った行った」というのは、非常にぞんざいな、有無を言わさぬ命令形です。でも未来の行動を指示する命令形なのに、なぜ「行った」という過去形を使うのでしょうか。ところでロシア語にも同じような言い方があります。поити(パイチー、行く…
私は今まで「恋(こい)」と「乞い」は同じ言葉で漢字が違うだけだと思っていました。相手を恋ふるのは、愛を乞うことだ、恋とは愛がほしい、くださいという意味だと思っていたのですが、大野晋先生によれば、恋と乞いは今は同じ音だけど昔は発音が違ってい…
動詞の未然形に~しいをつけると「~したくなるような・ほどの」という意味の形容詞になります。騒ぐ・騒がしい、好む・好ましいなど。となると「恥じる・恥ずかしい」となるはずですが、これは恥じ・ず → 恥じ・しい → (言いにくいので『か』を入れて) 恥…
「とる」の漢字には、取る、採る、捕る、執る、盗る、摂る、獲る、録る、撮るなどさまざまあります。これら漢字の使い分けを理解するのは面倒です。しかし本当に大事なことは、獲物が植物なら採る、動物なら獲るとか、そういう使い分けを覚えることではなく…
「写真を撮る」は正しいけれど、「音を録る」は当て字だからダメと言われることがありますが、その正しい/正しくないには「そう決まっているから」という以外に特に根拠はありません。なぜかというと、撮の本来の意味は「ひとつまみすくう」ということで、…
M音は舌を使わず唇を動かすだけで発音できます。子音の中でいちばん発音が簡単なので赤ちゃんが一番最初に話すのは「んまんま」です。多くの国のお母さんはこれを聞いて「わたしを呼んでいるのね!」と思ったのか、ママ、マザー、マミーなどM音はおかあさん…
動詞の未然形に~しいをつけると「~したくなるような・~するほどの」という意味の形容詞になります。意外なところでは、やさしいの語源は痩す(痩せる)です(##)。痩せ・ず → 痩せ・しい → やさしい、となります。元の意味は「身もやせ細るほど」「休み無…
部分属格という語法があります。「○○のうちの一部を対象とする」という考え方です。発祥はラテン語みたいです。英語的にはsome ・・・ となります。フランス語ではde *** という語形になりました。deは所属を表す前置詞なので、これは部分属格ぽいです。さて…
日本語では、動詞から形容詞を作るために「動詞の未然形+しい」とするしくみがあります。これは例を挙げた方が早いです。 騒ぐ→騒がしい喜ぶ→喜ばしい好む→好ましい疑う→疑わしい誇る→誇らしい 音が言いやすいよう微妙に変化する(音便を起こす)こともあり…
「忙しいは心を亡くすと書く」という話をはじめて聞いたときは、なるほどそれが忙しいの語源かと早とちりしました。しかし冷静に考えれば、「忙」とはいそがしいという日本語に当てられた漢字、つまり中国語です。いそがしいの語源は冷静に考えれば、「急ぐ…
今まで旅行した中で人がいちばん面白かったのはロシアでした。サンクトペテルブルグのアジムトというソ連時代の高級ホテルに泊まりましたが、広大なラウンジには談笑テーブルと椅子がしきつめてあり、多くのロシア人がそこに座って集まって朝から晩まで喋っ…
中国語でデビッドベッカムは大卫·贝克汉姆(ターウエイ・ベイクハンムー?)、(ドナルド)トランプは「特朗普(テーランポー?)」「川普(チュアンポー?)」の二つ言い方があり、ビヨンセは贝昴斯(ベイアンスー)、レオナルドダビンチは、列奥纳多·达·芬…
いま「グルジア語文法(国際語学社)」を読んでいます。ついに例の「能格」の説明に到達しました(p47)。能格は英語でergative、ギリシャ語のergon(英語のwork)から取られているそうです。なかなか理解しにくい能格ですが、大きくは「主格の強意」、つまり…
ラテン語は、当時の先進言語ギリシャ語から語法、言い回し、文法をどんどん取り入れて自言語を豊かにしました。これはラテン語とギリシャ語が文法がよく似ているからできたことです。ギリシャ語にある文法事項はたいていラテン語にもあります(冠詞はないけ…
ローマ人の墓碑銘にtu fui_, ego eris (##)とあったそうです。意味は、i was you, you will be I (私はおまえだった。おまえは私になる)です。つまり、「私も昔は生きていた。だがおまえもやがては死ぬ」という意味になります。英語に比べてラテン語は短い…
英語でもしi have lived といえば「(ここまで)生きてきた」という意味になりますし、他のヨーロッパ語もおそらくそうだと思いますが、ラテン語のi have lived に相当するvixi_ (<- vivo_)は、「死んだ」ことを表します。ここまで生きてきた → もう生きてい…
外国語の勉強は日本の漫画の外国語訳を読んでやることが多いです。ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、いろいろな国のamazonを使えば、個人でも簡単に購入できます。ブラジルだけは納税者番号が必要、とかでダメでした。意外に日本の漫画が多く翻訳され…
Nothing other than ... (...以外は何も)という英語の言い方は、これいったい何なのかと昔は疑問でした。other って比較級なの??? と。でも最近これはNihil aliud quam (##)というラテン語の単語置き換え訳なのだろうと最近わかりました。 検索すると歌…
語尾が格変化することで意味が分かる屈折語では、それゆえ語順が自由ということが多くあります。代表格はラテン語で、現代言語ではロシア語がそれになります。グルジア語も語順は比較的自由と聞きました。ところでこれら語順が自由な言語では、動詞がいちば…
欧州語の祖先であるラテン語のはときどき日本語と語順がそっくり同じ事があります。Nihil agendo_ homine_s male agere discunt.は、「何もせぬことにより人は悪事をなすことを学ぶ(小人閑居して不善を成す)」という意味ですが、Nihil(何も) agendo_(せ…
「今日いらっしゃいました」と日本語でいえば、来たのは、誰か目上の人あるいはお客様で、話者はたぶん大人で、話しているのはリラックスした日常ではなく、やや公的な場面ということが分かります。この情報はすべて「いらっしゃいました」というひと言から…
日本語には英語のYes/Noやドイツ語のJa/Neinような「いつでも誰でもどこでも使える一般的な、はい、いいえ」に相当する単語はないよに思います。はい、いいえは基本的には目下が目上に使うことばで、たとえば社長が部長に質問されて、はいとかいいえで答える…