2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

フランス語では「働く」と「拷問する」が語源が同じ

英語のtravel(旅する)はフランス語から輸入された言葉です。この言葉の語源は中性ラテン語のtrepaliare(拷問する)に遡ります。旅は今でこそ娯楽ですが、昔はたいへんな難行苦行であり、旅する、すなわち苦しむことであったようです。フランス語では旅する…

ドイツ語の語順になじめません[6] ~ 中国語、韓国語と比べると

参考までにアジア言語の訳も載せてみます。 ***中国語 叔叔当時是以什么様的心情読这个封信呢(シュシュタンシイシェメヤンテシンチントゥチェカフェンシンナ) これは、 「叔叔(おじさん)当時(そのとき)是(*)以什么様的心情(どんな気持ちで)読…

定動詞第二位の法則ってなぜあるんでしょうか?

ドイツ語の定動詞第二位の法則というのは、なぜあるのでしょうか。定動詞が文の二番目に来ると、何が便利なことがあるのでしょうか。およそ言語というのはどんなに不合理なことに見えても話者にとって何かの好都合があるからそうなっているのだと思います。…

ドイツ語の語順になじめません[5] ~ 単語数も多い

以上、各国語を見てみましたが、やっぱりドイツ語の語順のややこしさが際立っています。その上、ドイツ語は単語数が多い。 「おじさんはこの手紙をどんな気持ちで読んだんだろう」の訳をもう一度並べてみます。 - ドイツ語 → 8語:Wie muss sich Onkel Nobuh…

ドイツ語の語順になじめません[4] ~ ロシア語、ポーランド語と比べると

*** ロシア語 что же чувствовал мой дядя (когда читал это)?<what><really> <felt> <my><uncle> <when read this> 翻訳のせいもありますが、「まったく普通」という印象が強いです。 *** ポーランド語 probuje sobie wyobrazic, co musial czuc wujek, (kiedy to czytal)...<i try> <myself> <imagine>,<what><had to><feel><uncle><when this read> ロシア語より複雑だが、語</when></uncle></feel></had></what></imagine></myself></i></when></uncle></my></felt></really></what>…

ドイツ語の語順になじめません[3] ~ スペイン語、イタリア語と比べると

*** スペイン語Como se sentiria mi tio (al leer esa carta)?<How><himself><felt> <my><uncle><to readthis letter> スペイン語でも再帰動詞は多用されますが、このse sentiriaのように必ずセットでくっついています。いや、くっつくのが普通だと思うんですが。英語だってfeel yourself とかexpress yourself </to></uncle></my></felt></himself></how>…

ドイツ語の語順になじめません[2] ~ 英語、フランス語と比べて見る

参考までにバクマンの同じ箇所を他の言語で見てみます。 *** 英語:I wonder how he felt (when he was reading this) なんということもない、普通の語順、語構成に思えます。 *** フランス語:Qu'a pu ressentir oncle Nobu (en lisant cette lettre)?<How><has><can><felt> <uncle><Nobuhiro><in reading this letter> pu<</in></nobuhiro></uncle></felt></can></has></how>…

ドイツ語の語順になじめません[1] ~ どうしてセット単語をわざわざ引き離すのでしょうか?

最近ドイツ語を勉強していますが未だに語順の感覚になじめません。 たとえば漫画「バクマン」1巻125頁の「おじさんはこの手紙をどんな気持ちで読んだんだろう...」というセリフのドイツ語訳。 Wie muss sich Onkel Nobuhiro wohl gefuhlt haben, als er diese…

anyは英語独自の発想?

any(どれでも)というのは欧州語の中でも英語独自の単語のようです。漫画「バクマン」7巻で「自分で学費出すんだから好きな大学いける」というセリフがあり、ここは英語ではI'm going to pay for my tuition myself, so i can go to any college i want. と…

素晴らしいもみすぼらしいも口をすぼめるも昴も語源は同じ

動詞の未然形に~しいをつけると「~したくなるような・するほどの」という意味の形容詞になります。騒ぐ・騒がしい、好む・好ましいなどです。では「すばらしい」という形容詞も、もしや「すばる」という動詞から来たものなのでしょうか。結論からいうと、…

高いと八ヶ岳とそれだけと背丈はみな同じ

日本語は漢字のちがいのせいで本来おなじ言葉がそう見えないことがよくあります。 たとえば八ヶ岳の「岳(たけ)」。これは「高い」と同じ語源ですが、「岳」と「高」を並べても同じに見えません。でも「たけ」「たか」と書くと少し共通して見えますし、take…

ふんぎりがつかない

なかなか一歩が踏み出せない、という意味の「ふんぎりがつかない」を、わたしは長年、「糞切りがつかない」だと思っており「いやあ、下品な言葉だなあ」「女性が使う言葉じゃないなあ」と思っていましたが、正しくは「踏ん切りがつかない」でした……。反省で…

お疲れ様って、、、

「なんでこんな言い方するんだろうな、」とわたしがいちばん思う日本語は、「お疲れ様」です。文字通り、なんだか疲れる言葉だし、なんで「疲れ」を様づけしないといけないのか。まあ、それしか言い方ないからしょうがないけど。この言葉、いつからあるんで…

Googleに驚き

きょう、「本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷)」を書きましたが、その10分後にGoogleで、「Slave 語源」と検索したら、もう検索結果に出ていたので驚きました。Googleってはやい。

昴(すばる)の語源

日本語では動詞のe音がa音になると他動詞が自動詞になるというしくみがあります。上げる・上がる、高める・高まるなど。非常に意外な例では、「統べる・昴(すべる・すばる)があります。統べるとは「まとめる、統括する」の意味。これが自動詞になると「統…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その8]

さてSCLAVUSは「中世」ラテン語なので、これはローマ帝国は、コンスタンチノープルを首都とする東ローマ帝国のことかと推測します。東ローマの方がスラブ圏内に近いですし。ではカエサルが活躍していたローマ帝国時代のラテン語では奴隷はどういっていたのか…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その7]

注目すべきはルーマニア語です。現代ルーマニア語では奴隷はsclavですが、古ルーマニア語でruman(ルマン、「ローマ人」)と言っていました。 これを知ったときは、え?と思いました。ルーマニアという国名は「ローマ」に由来しています。ルーマニア語もラテン…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その6]

これらの奴隷に相当する単語はGoogle翻訳で調べたものですが、やや信憑性に欠ける訳もあります。たとえばGoogle翻訳では、ロシア語では奴隷はведомаяと出てきますが、ведомаяはあえて日本語に訳すれば「従属した」です(”従える”を示すвестиの被動形動詞現在…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その5]

他の欧州言語では次のとおりです。 - エストニア語:ori- ギリシャ語:δούλος(ドゥロス)- ハンガリー語:rabszolga- フィンランド語:orja- ラトビア語:vergs- リトアニア語:vergas

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その4]

一方、スラブ諸語では、次のとおりです。 - ロシア語:раба、ведомая(※)- ウクライナ語:ведена(ヴェデナ)- チェコ語:otrok- スロバキア語:otorok- クロアチア語:rob- セルビア語:роб(ロプ)- ブルガリア語:роб(ロプ)- ベラルーシ語:ведзеная(…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その3]

ちなみにヨーロッパの他言語では奴隷を表す単語は次のとおりです(※ Google翻訳)。 まず西欧諸語ですが、ぜんぶsclavus,slave系の単語ですね。 - フランス語:esclave- スペイン語:esclavo- ドイツ語:Sklave- イタリア語:schiavo- ポルトガル語:escravo- オ…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その2]

ところでスラブ(slav, キリル文字ではСЛАВ)とはどういう意味かというと、現地語で「栄光」を意味します。「神よ栄光あれ、Thank God」は、СЛАВА богу(スラヴァ・ボグー)」といいます。プーチン大統領の就任式では、「栄光あれ -СЛАВЬСЯ(スラーヴィシャ…

本当は怖い語源の話 ~ slave(奴隷) [その1]

ロシア、ポーランド、チェコスロヴァキア、クロアチアなどの人々を総称してスラブ人(slav)といいますが、これを最初知ったとき、何だか英語の奴隷(スレイブ、slave)と似た言葉だなと一瞬、思いました。いやいやいや、偶然の一致だから、スラブのみなさま…

ウズベキスタン語とトルコ語

はじめてのウズベキスタン語という本を本当にパラパラーと3分ぐらい見てみました(めくりました)。直感的にトルコ語とウズベキスタン語は、英語とフランス語ぐらいには似ていると思いました。

「さあ行った行った」という命令形はなぜ過去形なのか

日本語で「さあ、行った行った」というのは、非常にぞんざいな、有無を言わさぬ命令形です。でも未来の行動を指示する命令形なのに、なぜ「行った」という過去形を使うのでしょうか。ところでロシア語にも同じような言い方があります。поити(パイチー、行く…

「恋(こい)」と「乞い」は同じかと思っていたら違っていた

私は今まで「恋(こい)」と「乞い」は同じ言葉で漢字が違うだけだと思っていました。相手を恋ふるのは、愛を乞うことだ、恋とは愛がほしい、くださいという意味だと思っていたのですが、大野晋先生によれば、恋と乞いは今は同じ音だけど昔は発音が違ってい…

恥じる → 恥ずかしい

動詞の未然形に~しいをつけると「~したくなるような・ほどの」という意味の形容詞になります。騒ぐ・騒がしい、好む・好ましいなど。となると「恥じる・恥ずかしい」となるはずですが、これは恥じ・ず → 恥じ・しい → (言いにくいので『か』を入れて) 恥…

「とりいそぎ」はなぜ「いそぎ」よりていねいになるのか?

「とる」の漢字には、取る、採る、捕る、執る、盗る、摂る、獲る、録る、撮るなどさまざまあります。これら漢字の使い分けを理解するのは面倒です。しかし本当に大事なことは、獲物が植物なら採る、動物なら獲るとか、そういう使い分けを覚えることではなく…

「写真を撮る」は正しいけれど、「音を録る」は当て字?

「写真を撮る」は正しいけれど、「音を録る」は当て字だからダメと言われることがありますが、その正しい/正しくないには「そう決まっているから」という以外に特に根拠はありません。なぜかというと、撮の本来の意味は「ひとつまみすくう」ということで、…

マンマはお母さんなのかご飯なのか

M音は舌を使わず唇を動かすだけで発音できます。子音の中でいちばん発音が簡単なので赤ちゃんが一番最初に話すのは「んまんま」です。多くの国のお母さんはこれを聞いて「わたしを呼んでいるのね!」と思ったのか、ママ、マザー、マミーなどM音はおかあさん…